労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター

調査研究

平成7年度産業保健調査研究

鉄工関連事業所における作業環境の改善に関する実証的研究

【調査研究の目的と成果】

 鉄工団地における安全衛生委員会の活動を利用し、自主対応型/参加型産業保健活動の産業の現場への導入と効果に関する実証的研究を試みた。

 今回の研究は大きく三つの内容で構成されている。
 すなわち(1)参加型安全衛生トレーニングの試行、(2)職場改善事例の収集、(3)ノイズバッチによる作業環境の評価である。
 (1)については、毎回 1 回の安全衛生委員会時に、われわれの作成したプログラムに沿って、合計 3 回、実施した。本鉄工団地の通常の委員会出席メンバーのみならず、我々研究スタッフなど外部の参加者を交え、グループの討議の形式で進めた。職場の評価は我々の作成したチェックリストによったが、このさい、あら探しを控え、作業現場での改善例をできるだけ見つけだし、それを積極的に評価する方向が強調された。
 (2)については、それぞれの職場における改善の取組の現状を把握するためのアンケート調査を加えて、事例の収集を実施した。
 (3)については、各事業所の延べ 30 名の作業者について、ノイズバッチ装着して、各人の 1 日騒音曝露量を測定した。
 この方法は、作業者が自ら自分の騒音曝露レベルを知り、職場の騒音環境の改善に積極的に参加できる状況をつくることが期待できるなど、安全衛生教育を視野に入れた優れた環境の評価法であると思われる。
 それぞれの成績については、結果と考察に述べたとおりで、限定された時間のなかでの研究として完全なものではないが、三つの内容を柱にしたプログラムを実施することにより、それぞれに、最初に立てた作業仮説を検証し、到達目標に近づく成績が得られたのではないかと思われる。今回のプログラムの先端部の項目は柔軟に変えることが可能で、そのように対応することによって、様々な特性を持った職場に応用できるのではないかと思われる。
 一方、特に本研究が、鉄工団地の積極的なご協力のもとで、我々研究スタッフだけでなく、熊本産業保健推進連絡事務所相談員をはじめ、産業保健関連領域の多くの専門スタッフの参加と助言を得て、進められたことが、この研究結果を普遍化する上で最も貴重な成果となっている点を強調しておきたい。
 作業現場での産業保健活動は、それぞれの職場で独自性を持たなければならないが、どのようなあり方をとろうと、持続的、継続的に進められ、専門家の押しつけでない労使の意見が適切に反映されるものでなければ、効果的な結果は得られない。その意味で、今回の研究は、我々産業保健調査研究スタッフにとっても、対象となった鉄工団地にとっても、これからの産業保健活動のおける最初の一歩が踏み出されたに過ぎない。今後ともこの様な研究と活動が進むことを切に希望したい。


 
労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター/調査研究/【平成7年度】鉄工関連事業所における作業環境の改善に関する実証的研究