労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター
 

熊本労働局H30年度労働行政運営方針公表【熊本労働局】

  

 熊本労働局は、平成30年度労働行政運営方針を公表されました。

長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止の徹底や、治療しながら働いていける環境を整える「治療と仕事の両立支援」の推進、化学物質等による健康障害防止対策の推進、企業・業界単位での安全衛生取り組みへの強化、平成28年熊本地震からの復旧・復興工事に従事する労働者の安全と健康確保対策等「働き方改革」の推進に則った重点施策となっております。

 

(以下、H30年度労働行政運営方針より一部抜粋)

 

3 労働条件等をめぐる動向

(1)申告・相談等の状況
平成29 年度県内7 か所の総合労働相談コーナー等に寄せられた相談件数は、平成29 年12月末までに、総合労働相談件数が7,648 件、そのうち、民事上の個別労働紛争の相談件数が1,765 件、助言・指導申出受付件数が114 件、あっせん申請受理件数が42 件(同41 件)となっており、前年度から減少傾向ではあるが、今後も引き続き高水準で推移していくものとみられる。民事上の個別労働紛争相談の内容をみると、パワハラを含むいじめ・嫌がらせの相談が484 件で全体の20.9%を占め最も多くなっている。

 平成30 年1 月末までに雇用環境・均等室に寄せられた相談のうち、男女雇用機会均等法関係相談は246 件で平成28 年度同期より101 件減少している。そのうち、セクシュアルハラスメントは82 件で、昨年同期より5 件減少しているが、均等法関係の相談で最も多い。次いで妊娠・出産等不利益取扱い37 件、平成29 年1 月に事業主に義務付けられた妊娠・出産等に関するハラスメント防止対策の相談が31 件となっている。育児・介護休業法に関する相談は728 件、育児休業等に関するハラスメント防止対策が60 件となっている。
また、労働基準監督署(以下「監督署」という。)が処理した労働基準関係法令に関する申告は、景気回復を反映して減少傾向にあるが、平成28 年熊本地震に伴う、解体工事における賃金不払いが増加していることから、申告の内容に占める賃金不払いの割合が3.6 ポイント増加し、業種別の構成比も建設業に係る申告が7 ポイント増加している。
加えて、平成28 年熊本地震に伴う、解体工事における賃金不払いは、重層下請けにより賃金支払義務者の特定そのものが困難な事案が多く、その処理に多くの業務量が必要となっている。

 

(2)労働時間の状況

平成29 年の熊本県内の年間総実労働時間は、「毎月勤労統計調査(事業所規模5 人以上)」によると、前年より12 時間増加し1,775 時間であった。なお、全国平均は、前年よりも3 時間減少し1,721 時間となり、熊本県は全国を54 時間上回る結果となっている。

 

(3)賃金の状況
熊本県内の賃金状況は、「毎月勤労統計調査(事業所規模5 人以上)」によると、平成29年の雇用者全体(一般労働者+パートタイム労働者)の一人当たりの平均月間現金給与総額は、276,273 円で前年比1.1%増となっている。また、パートタイム労働者のみの一人当たりの平均月間現金給与総額は、87,724 円と平成23 年以降の調査で最も低い金額になっており、全国平均の98,347 円との差は10,623 円となり前年より拡大している。

 

(4)労働災害・労災補償の状況
平成29 年の労働災害の発生状況をみると、死亡者数は22 人(対前年同期比6 人、37.5%増加)〔2 月7 日速報値〕、休業4 日以上の死傷者数は1,875 人(対前年同期比15 人、0.3%増加)〔2 月7 日速報値〕という結果となった。
また、「平成28 年熊本地震」による災害復旧工事にかかる労働災害発生状況は、1 月10 日現在、休業4 日以上の死傷者数が242 人(平成28 年147 人、平成29 年95 人)、うち死亡者数が10 人(平成28 年4 人、平成29 年6 人)であった。
一方、労働者の健康をめぐる状況についてみると、熊本県における定期健康診断の有所見率は平成16 年以降5 割を超えており、年々増加を続けている。また、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は53.6%であり、ストレスチェック制度の結果を集団分析している事業場の割合は66.1%である。
この他、熊本県の平成28 年における自殺者336 人のうち23.5%の79 人が被雇用者であり、勤務問題を原因とする者は6.8%となっている。(警察庁調べ)さらに、労働人口の高齢化が進む中で、職場において、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面が増えることが予想される。
化学物質に関しては、危険有害性を有する化学物質について、ラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている譲渡・提供者の割合は、55%に留まっている。
また、熊本地震による石綿使用建築物の解体工事に従事する労働者の石綿等粉じんばく露が懸念される。

 

 H30年度熊本労働局労働行政運営方針(PDFファイル:526KB)