労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター
 

「働き方改革関連法」が6月29日成立、7月6日公布

 

 「働き方改革関連法」が6月29日に成立し、7月6日に公布

 ≪健康確保対策についてのポイント≫ 一部抜粋です。

 

  @残業時間の上限を規制

   (現在)法律上は、残業時間の上限はありませんでした。

      ↓

   (改正後)法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなります。

  ◎ 時間外労働の上限について、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な

    特別な事情がなければこれを超えることはできません。(月45時間は、1日当た

    り2時間程度の残業に相当します。)

  ◎臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、

   ・年720時間以内

   ・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)

   ・月100時間未満(休日労働を含む)

   を超えることはできません。

   (月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。)

   また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。

  

  ※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を

   適用等の例外あり(猶予期間5年)。新技術・新商品開発等の研究開発業務に

   ついて、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、

   時間外労働の上限規制は適用しない。

  ※長時間労働の是正には取引環境の改善も重要です。労働時間等設定改善法

    では、事業主の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わ

    ないよう配慮するよう努めることと規定されました。

 

  A割増賃金に係る猶予措置の廃止2023年4月1日施行

   (現在)月60時間超の残業割増賃金率  大企業 50%、中小企業 25%

     ↓

   (改正後)月60時間超の残業割増賃金率 大企業、中小企業ともに50%

   月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業

   への猶予措置を廃止する。

 

  B「勤務間インターバル制度」の普及促進等【2019年4月1日施行】

   事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定期間の休息の確保に

   努めなければならないこととします。⇒この仕組みを企業の努力義務とすることで、

   働く方々の十分な生活時間や睡眠時間を確保します。

 

  C年次有給休暇の指定付与を企業に義務付け【2019年4月1日施行】

  (現在)労働者が自ら申し出なければ、年休を取得できませんでした。

    ↓

  (改正後)使用者が労働者の希望を聴き、希望を踏まえて時季を指定。年5日は

       取得していただきます。

   使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、

   毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。

  

  ※今までは、労働者が使用者に「○月×日に休みます」と取得希望時季を申し出て、

    ○月×日に年休が成立しましたが、改正後は、使用者が労働者に取得時季の

    希望を聴取し、労働者の希望を踏まえ、使用者が「○月×日に休んでください」と

    取得時季を指定し、○月×日に年休が成立します。このことを年5日は指定付与

    しなければいけません。

 

  D「フレックスタイム制」を拡充【2019年4月1日施行】

   (現在)労働時間の清算期間:1か月

     ↓

   (改正後)労働時間の清算期間:3か月

     ※清算期間が3か月になると…例えば、8月に法定労働時間を超えて働いた時間分

    を、10月の休んだ分に振り替えることができます。

 

  E「高度プロフェッショナル制度」の新設【2019年4月1日施行】

   (高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)

  ※健康の確保

  制度の創設にあたっては、長時間労働を強いられないよう、以下のような手厚い仕組

  みを徹底。

 

  (1)制度導入の際には、法律に定める企業内手続きが必要

    @事業場の労使同数の委員会(いわゆる「労使委員会」)で、対象業務、対象労働

     者、健康確保措置などを5分の4以上の多数で決議すること。(=すなわち、労働

     者側委員の過半数の賛成が必要になります。)

    A書面による本人の同意を得ること。(同意の撤回も可能とする)

  (2)現行の労働時間規制から新たな規制の枠組みへ

   高い交渉力を有する高度専門職については、その働き方にあった健康確保のための

   新たな規制の枠組みを設ける。

    ※新たな規制の枠組み

     ・年間104日以上かつ、4週4日以上の休日確保を義務付け

     ・加えて、以下のいずれかの措置を義務付け

        ※どの措置を講じるかは労使委員会の5分の4の多数で決議

      @勤務間インターバル規制(終業・始業時刻の間に一定時間を確保)

             +深夜業(22〜5時)の回数を制限(1か月当たり)

      A在社時間等の上限の設定(1か月又は3か月当たり)

      B1年につき、2週間連続の休暇取得(働く方が希望する場合には1週間

        連続×2回)

      C臨時の健康診断の実施(在社時間が一定時間を超えた場合又は本人の

       申し出があった場合)

    ・在社時間等が一定時間(1か月当たり)を超えた労働者に対して、医師による

     面接指導を実施(義務・罰則付き)⇒面接指導の結果に基づき、職務内容の

     変更や特別な休暇の付与等の事後措置を講じる。

 

  F「産業医・産業保健機能」を強化【2019年4月1日施行】

  (1)産業医に対する情報提供等の充実・強化

   ・産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、

    誠実にその職務を行う

   ・産業医に対し、労働時間に関する情報その他必要な情報を提供する。

   ・労働者の心身に関する情報については労働者の健康の確保に必要な範囲内

    収集、保管、使用する。

   ・心身に関する情報適正に管理するための措置を講ずる

   (現在)

     産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に

     対して勧告することができます。

     ↓

    (改正後)

     事業者は、長時間労働者の状況や労働者の業務の状況など産業医が労働者の

     健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないこととします。

   (2)産業医の活動環境の整備

    ・産業医の勧告を受けた時、安全衛生委員会へ報告する。

    ・産業医等の業務内容等掲示する。

    ・産業医等が健康管理の適切な実施や健康相談の適切な対応のための体制を

     整備する。

    (現在)

     事業者は、産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務があります。

     ↓

    (改正後)

    事業者は、産業医から受けた勧告の内容を事業場の労使や産業医で構成する

    衛生委員会に報告することとしなければならないこととし、衛生委員会での実効

    性のある健康確保対策の検討に役立てます。

   (3)労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取り

     扱いルールの推進

   (現在)

    事業者は、労働者の健康相談等を継続的かつ計画的に行う必要があります。

    (努力義務)

     ↓

   (改正後)

    産業医等による労働者の健康相談を強化します。

     ・事業者は、産業医等が労働者から健康相談に応じるための体制整備に努

      めなければこととします。

    事業者による労働者の健康情報の適正な取り扱いを推進します。

     ・事業者による労働者の健康情報の収集、保管、使用及び適正な管理について、

      指針を定め、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受

      けられるようにします。

 

 

    G面接指導

    (1)特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者に対する面接指導

     事業者は、その健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、

     厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならな

     いものとすること。(健康管理時間が週40時間を超え100時間超)

     ※健康管理時間=事業場内にいた時間+事業場外において労働した時間

    (2)その他の面接指導に係る事項として、

     (1)及び第六十六条の八の面接指導制度に関し、全ての労働者を対象として、

       労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければ

       ならないものとする旨を労働安全衛生法で定めることとする。

     ※面接指導の対象を1か月100時間から80時間とする。

 

        ★改正による長時間労働者に対する面接指導の流れの変更点のまとめ(PDFファイル)

 

 

    H労働時間の状況の把握【2019年4月1日施行】

     省令で定める方法により把握しなければならないこととする。

     ※省令で使用者の現認や客観的な方法による把握を原則とすることを定める。

    

 

   「働き方改革の実現」に向けて(厚生労働省ホームページ)

 

   「働き方改革」(熊本労働局ホームページ)

 

   熊本県働き方改革推進支援センターホームページ