労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター

調査研究

平成9年度産業保健調査研究

熊本県における健康と安全の維持向上に関する職場改善事例の収集と解析

【調査研究の目的と成果】

 事業所における健康と安全を維持増進するためには、現場の産業保健担当者を核にした組織的な活動が不可欠である。産業保健担当専門家と現場の作業者がお互いの立場を尊重しつつ、快適な職場の形成に向かってチエを絞ること、企業内外の他の職場のグループと積極定期に交流すること、これがこれからの職場に根ざした産業保健活動のあるべき姿の一つであろう。
 その際、現場の工夫と努力で生まれた健康と安全に関する改善事例が積極に評価、拡大していくこと、他の職場の改善事例を有効に活用していくこと、は最も効果的な対応の一つであると思われる。
 しかしながら、熊本県では、それらの改善事例が積極的に取り上げられ、全ての職場が適切にそれらの事例を活用出来るように分析、整理された事例集は提供されていない。
 本研究の目的は、熊本県下の事業所における産業保健活動を効果的に進めるために、それぞれの現場での改善事例を幅広く取り上げ、図部手の職場がそれぞれの実情に合わせて、それらの事例を活用出来るように、解析、分類して、事例集の作成、提供を図ることにある。
 このような課程を通じて、個々の事業所の産業保健活動に有用な情報が提供され、職場における効果的な安全と健康に対するシステムが構築されるとともに、現場の産業保健活動担当者のより一層の活性化を図ることが出来る。
 本研究は、平成7年度産業保健調査研究において試みた参加型産業保健活動における実践的研究から導かれた実効的な活動のあり方を活用して展開されるもので、本調査研究事業の主旨を活かした系統的で実践的な研究活動である。
 このように、個々の事業所で独自に進められている改善事例を幅広く収集し、それぞれの現場で活用しやすいように整理して提供するという試みは、熊本県においては初めてのものと思われる。

【調査研究の方法】

 まず、それぞれの職場で工夫、努力されている健康と安全に関する改善事例を収集するための統一調査票を作成した。これを用いて、熊本県内の事業所の改善事例を主として郵送法(留置法)にて収集した。重要な事例については現場を訪問し詳細にその利点を解析した。
 得られたデータは、全ての事業所で応用出来るように、統一の評価指標を作成し、それに従って解析、分類し、それを整理して事例報告集を作成した。
 作成した調査表は付表のごどくで、本調査の主旨を含めた依頼書、事例記載表(事例の説明に写真・イラストをつける)、等事例に対する自己評価(経費を含む)を1組としたもので、各事業書に5例まで記載出来るよう用紙を添えて配布した。
 収集されたそれぞれの事例は、我々で設定した10項目の改善内容(@通路とレイアウト)、A安全化、B温熱/照明/騒音、C有害物質対策、D物の運搬と保管、Eワークステーション、Fやりやすい操作、G作業編成、H衛生保護具、Iリフレッシュ施設)に従って分類された。改善の項目は1事例につき1項目とは限らず、最高、4項目の改善内容に該当する事例も見られた。それを占めいた評価欄と、生産性への反映および作業者の反応(3段階評価)、経費(万円)、および、改善の背景と改善内容の簡潔な紹介、改善箇所の前後の写真を1頁にレイアウトして、1事例として表示した。これらの事例を1例ずつ重ねて本事例報告集とした。
 なお、事業所だけでなく、農作業の現場における改善事例についても熊本県農政部経営普及課を通じて収集し、一般の事業所に応用、参照出来るよう、同様の形式で整理し掲載した。


 
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