調査研究 |
職場改善事例の収 集調査とデータベースの構築記事作成日:平成20年10月14日(火) 1.背景と目的 職場改善の努力は、各企業のなかで安全衛生委員会などを基盤に地道に行われているが、職場改善の具体例などの情報が、企業間で共有されることはほとんどないのが現実である。職場改善を常に試み、このような情報の必要な企業に簡便に、適正に情報を提供するシステムは確立されていない。職場の改善事例を具体的に活用出来るシステムを構築することは、今後の企業の産業保健活動上で極めて有意義であると考える。 2.研究方法 熊本県下の企業に対し、職場における産業保健に関する改善事例(作業及び作業環境、安全・衛生活動のシステムなど)を我々が開発した所定の様式により、アンケート調査の形式で収集し得られた事例を所定の様式で整理し、それを基に熊本産業保健推進連絡事務所にデータベースを構築し、職場改善に関する情報を必要とする企業に提供するシステムを確立する。調査表は対象職場それぞれの改善事例の紹介とその評価(内容、経費、工夫した点、生産性・経済面での効果・作業者の反応)を様式化したものとする。調査表の開発とデータベースの作成には、当センター以外の産業医や関連スタッフに協力をお願いする。調査対象企業は、当センターが保有する企業リストから、職種、規模、地域性を考慮して約500社を選定し、返信用封筒を添えて調査表を送付する。 3.結果と考察 28事業所から写真とともに計43事例が寄せられた。業種と、その改善事例の内容を表1に示す。事業所の従事者数(パートタイム等をふくむ)は、15〜1000名(平均239.3人)であった。1件あたりの費用は、不明とした事例も 4 件あったが、自社の材料を利用しコスト0円から、100円ショップを利用などもあったが、300万円を費やした事例まで、平均して36.3万円であった。比較的コストのかかる改善事例が多かった。 改善の内容のうちわけは、安全化30件、通路とレイアウト11件、物の運搬と保管7件、温熱 / 証明 / 騒音5件、ワークステーション5件、リフレッシュ施設3件、衛生保護具2件、やりやすい操作1件、その他2件(事例により重複して分類)(表1)であった。 今回の改善事例の対象は、熊本産業保健推進連絡事務所登録の事業所であったが、30名以下の事業所が4件あった。中規模事業所以上になると安全衛生委員会を主体とした改善事例もあり、職場改善のシステムが構築されている印象をもった。今後は、小規模の事業所の改善事例を収集することが課題である。
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