労働者健康安全機構 熊本産業保健総合支援センター

相談員・促進員のひとり言【第126号】  稲田 美和子 相談員

 

 平成30年度の幕開け。昨年もいろいろな事がありました。政治家の不祥事や与党の圧倒的勝利に終わった衆議院選挙、北の脅威。新しいヒーローが生まれた将棋界、スポーツ界など一喜一憂するニュースに明け暮れた1年間でした。平成も残りわずか。今年は穏やかな1年間であることを願っています。

昨年は、私が尊敬する偉大な先生が他界されました。1人は渡辺和子先生(ノートルダム清心学園理事長・H28.12.30没)、そして日野原重明先生(聖路加国際病院名誉理事長 H29・7・18.没)です。お二人とも敬虔なクリスチャンでした。

渡辺先生は幼き日に遭遇された2・26事件にて父親を(当時の教育総監)が目の前で失い、母親との精神的な軋轢を抱え、信仰を持ってからもうつ病になるなど、壮絶な人生を過ごされてきました。その先生だからこそのお言葉が、穏やかで温かい愛情と輝きを持って、胸を打たれるのです。数々の著書の中で、常に「命」「愛」「信じる」「心」「生きる」をテーマに、美しい人生の実らせ方のヒントを与えてくださいます。

読みながら、何度も涙を流したものです。

最も心に残ったのが「時間の使い方はそのままいのちの使い方なのです。置かれたところで咲いてください」結婚しても、就職しても、子育てしても「こんなはずじゃなかった」と思う時、その状況の中で「咲く」努力をしなさい。というメッセージです。

 日野原先生も、常に、「命」「愛」というテーマにお話しされます。医療に関わる私たちにも、常に「愛をこめて患者様に向き合いなさい」と教えてこられました。先生は生活習慣病という言葉を初めて使われ、医療界の改革に取り組まれた偉大なドクターです。

 日野原先生が「命の授業」というタイトルで全国の10歳の子どもと交流されてきました。その会で「命はどこにあるか」という問いかけに「心臓」「脳みそ」と答えた子供たちに、先生は「命というのは君たちが使える時間の中にあるんだよ」と答えられたそうです。「毎日朝ご飯を食べて勉強したり遊んだり、自分のために与えられている時間が命だよ」と。

 お二人の先生が奇しくも同じように「いのち」は時間の使い方にあるのだと教えてくださいます。

私たちは、毎日の中で「時間」に「いのち」を感じながら生きているでしょうか?お二人の先生が残された「時間の意味」を、もっと感じながら、無駄にしないようにしていきたいと思っています。

 渡辺先生の「置かれたところで咲きなさい」の最後にこう書いてあります。

 どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代りに、根を下へ下へと降して、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。

 

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