治療と仕事の両立支援対策の推進について【厚生労働省】
厚生労働省から、平成30年10月5日付け、「治療と仕事の両立支援対策の推進について」が発出されました。
治療と仕事の両立支援の総合対策
厚生労働省は、関係行政機関、地方公共団体、関係団体等の連携を図りつつ、疾病の治療を行っていても、症状と治療の状況に応じた就業上の配慮の下に、本人の希望に応じた能力発揮の機会(以下「仕事」と総称する。)が継続的に確保される社会の実現に向けた施策(以下「本施策」という。)について、以下のとおり推進する。
なお、参考「治療と仕事の両立支援の総合的対策の解説」も参照されたい。
1 本施策の対象者
2 本施策推進の基本的な方針
(1)本施策推進の基本的な枠組み
①支援拠点の確立と関係者・関係施策の相互連携体制の整備
②支援人材の育成及びトライアングル型支援等の推進
③支援ノウハウの共有・普及
④治療と仕事の両立支援に資する経済的支援のための条件整備
⑤企業文化の改革・国民的理解の促進
(2)支援拠点の確立と関係者・関係施策の相互連携体制の整備
各地域における支援ニーズを的確に把握しつつ、当該地域の人的、組織的リソースの状況に応じ、「地域両立支援推進チーム」を的確に構成し、運営する。
より具体的な支援ニーズの把握と対応を進める観点から、可能かつ効果的と認められる場合においては、郡市、圏域レベル等での関係支援機関の連携体制の確立・強化を含む支援体制の強化を図る。
(3)支援人材の育成及びトライアングル型支援等の推進
ア 総合的かつ計画的な人材育成及びトライアングル型支援の推進
総合的かつ計画的な人材育成及びトライアングル型支援の推進を推進し、その効果を治療と仕事の両立支援室が取りまとめる。
イ 主治医と産業医の連携強化の推進
平成30年診療報酬改定において、就労中のがん患者の療養と就労の両立支援のため、主治医と産業医との連携により、治療計画の再検討又は見直しを行うことを評価する「治療・就労両立支援指導料」が新設された。がん以外の患者への対象拡大については、今後、今回の改正の影響を調査・検証し、関係者の意見もよく聞きながら検討を行う。
(4)支援ノウハウの共有・普及
厚生労働省は、産業保健総合支援センターと連携して、あらゆる機会を捉え、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(平成28年2月23日付け基発0223第5号、健発0223第3号、職発0223第7号)及び参考資料「企業と医療機関の連携のためのマニュアル」の周知を行う。
(5)治療と仕事の両立支援に資する経済的支援のための条件整備
健康保険等の傷病手当金に係る見直しの際には、断続的な一時休業を伴う治療と仕事の両立をより効果的に支援できる仕組みを念頭に整備を進める。
(6)企業文化の改革・国民的理解の促進
ア 「健康経営」等との連携
疾病に罹患した従業員の企業組織への円滑な受入れと治療と仕事の両立支援に向けた具体的な取組を含む形で「健康経営」が推進されるよう適切に促す。
労働安全マネジメントシステム(事業場における安全衛生水準の向上を図ることを目的として事業者が一連の過程を定めて行う自主活動)における取組事項としても、治療を仕事の両立に向けた支援を含めて取り組むことを適切に促す。
イ 患者・労働者本位の支援の充実、国民的理解の促進等
治療と仕事の両立について、患者・労働者が主体的かつ合理的な判断や選択が可能となるよう、患者・労働者に対するより機動的かつ継続的な情報提供、相談・支援が可能となる体制の整備等施策の充実を図る。
当該患者・労働者が両立を図ろうとする仕事その他の社会的活動については、人事労務担当者や上司・同僚をはじめ企業等における関係者の当該患者・労働者の状況に対する理解と配慮が不可欠であり、その効果的な啓発に取り組む。
本施策の意義と内容についての国民的理解を促進するため、効果的な広報、周知を行う。
参考「治療と仕事の両立支援の総合的対策の解説」【厚生労働省】