治療と仕事の両立支援セミナーにおけるQ&A
平成30年11月5日(月)にくまもと県民交流館パレア10階ホールで「治療と仕事の両立支援セミナー」を開催いたしました。
内容
■基調講演
熊本大学医学部附属病院 緩和ケアセンター長
吉武 淳 先生 テーマ:緩和ケアの目的と意思決定支援について
■治療と仕事の両立支援とは 熊本産業保健総合支援センター 説明
■両立支援取組み事例 ㈱ブリヂストン熊本工場 様、日本製紙㈱八代工場 様
■両立支援相談の現状 熊本労災病院
■長期療養者就職支援事業の事例 ハローワーク熊本 説明
多数の方にご来場いただきました。
いくつかご質問をいただきましたので、下記にQ&Aを掲載いたします。
Q1.透析や抗がん剤治療をしながら仕事をされる方に対する、給与補償や勤務形態や調整の仕方について
A1.給与については、労働条件の柱となりますので非常に重要な部分です。雇入れ時に定められた賃金体系によることになります。一般的には、いわゆる完全な月給制の場合は一部欠勤があっても月給額の減額はないと思われますが、そうでない場合はあらかじめの確認が必要です。両立支援ガイドラインの「4両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)の(4)両立支援に関する制度・体制等の整備」を参照して、詳細に取り決めてことが望まれます。この中で、給与が減額される場合は、どの程度減額されるのか?休暇制度、勤務制度の運用がどうするのか?などの点を取り決めてください。
これらは、予め、取り決めておくことが非常に大事で、支援を行う必要が生じた後に取り掛かるとなかなか大変になります。この点からも早めに取り掛かることが重要です。
Q2.対象の労働者への上手なコミュニケーションの取り方
A2.闘病する方にとって、病気の治療や再発、仕事への影響など大きなストレスを抱えての状態が長期にわたって続く可能性もあります。
またそのことにより、不安や抑うつ症状などが生じる可能性もでてきます。
まずは、じっと労働者の言葉に耳を傾けるなど、批判したりこちらの価値判断をされずに、受容的に接していただくことが基本です。
ただ、ご自身で対応できないと思われる場合は、産業保健スタッフ等の専門スタッフに繋げていただくことも大切です。
Q3.治療中、本人から会社へ治療状況等を伝える際には、どのタイミングで行うとよいのか
A3.一般的には、受診のタイミングで上司へ報告もしくは変化があった時に、ご本人から報告されることとなります。その際には、会社の方からも何かあったらいつでも相談してよいことをご本人に伝え、日ごろから相談しやすい関係を築いておくことが重要です。
ただ企業によっては、事業場の規模にもよりますが産業保健スタッフまたは労務管理担当者、または上司の方が、1か月に1回など、定期的な面談をされている場合もあります。