「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表

行政の動向
2019-08-16

 厚生労働省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」(座長:守島基博 学習院大学経済学部経営学科教授)は、このたび、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する報告書をまとめまられ、公表されました。

 この検討会は、副業・兼業の際に、労働者の健康確保や企業の予見可能性にも配慮して、どのように実効性のある労働時間管理を行うかという課題などについて検討するため、平成30年7月から令和元年7月までに9回にわたり開催したものです。

 

 

<副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会報告書骨子より一部抜粋>

 議論の前提

・副業・兼業の普及促進に当たり、健康確保の充実と実効性のある労働時間管理の在り方が重要となっている。

・本検討会では、労働法制の歴史的経緯、企業等へのヒアリング、諸外国の視察結果等を踏まえ、今後の方向性について、考えられる選択しの例示を以下の通り整理した。

 

1.健康管理について

・労働安全衛生法では、複数の事業者間の労働時間を通算することとされていないが、副業・兼業を行う労働者の健康確保の観点から、新たに、労働者の自己申告を前提に、各事業者が通算した労働時間の状況(例:月の総労働時間)を把握することも考えられる。(ただし、副業・兼業は労働者のプライバシーに配慮する必要があること、事業者を跨がることから、労働者自身による健康確保も重要になると考えられる。)

・健康確保措置に係る制度の見直しの方向性として は、例えば、以下のようなことが考えられる。

①-1 事業者は、副業・兼業をしている労働者について、自己申告により把握し、通算した労働時間の状況などを勘案し、当該労働者との面談、労働時間の短縮その他の健康を確保するための措置を講ずるように配慮しなければならないこととすること。(公法上の責務)

①-2 事業者は、副業・兼業をしている労働者の自己申告により把握し、通算した労働時間の状況について、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えている時間が一月当たり八十時間を超えている場合は、労働時間の短縮措置等を講ずるほか、自らの事業場における措置のみで対応が困難な場合は、当該労働者に対して、副業・兼業先との相談その他の適切な措置を求めることを義務付けること。また、当該労働者の申出を前提に医師の面接指導その他の適切な措置も講ずること。

 

② 通算した労働時間の状況の把握はせず、労働者が副業・兼業を行っている旨の自己申告を行った場合に、長時間労働による医師の面接指導、ストレスチェック制度等の現行の健康確保措置の枠組みの中に何らかの形で組み込むこと。

※なお、労働時間の上限規制や割増賃金などにおける選択肢により、健康管理の在り方も変わりうることに留意。

 

「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表します【厚生労働省ホームページ】

 

 

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