リスク評価結果等に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について

行政の動向
2020-03-16

 

 厚生労働省で開催している「化学物質のリスク評価検討会」において、詳細リスク評価対象物質3物質及び初期リスク評価対象物質16物質の計19物質(以下、「対象物質」という。)についてリスク評価が行われ、その結果が「2019年度化学物質のリスク評価検討会報告書」として取りまとめられるとともに、厚生労働省Webサイトにおいて公表されました。(参照URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10072.html)

つきましては、今般のリスク評価の結果を踏まえ、対象物質に係る労働者の健康障害防止対策を下記のとおり取りまとめられましたので、お知らせいたします。

 

 1 詳細リスク評価結果

(1)経気道ばく露防止のリスクが高く、健康障害防止措置の検討を行うべきとされた物質(2物質)

 No.81 塩化アリル

 No.84 アセトニトリル

 本物質については、経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含めて詳細リスク評価を確定させることとしている。 

 他方、経気道ばく露のリスクに係る追加調査の結果、本物質を製造し又は取り扱う事業場の作業工程に共通して、経気道ばく露により労働者に健康障害を生じさせるリスクが高いと判定され、これに対応する健康障害防止措置の検討が必要と結論されたことから、本物質については、今後、経気道ばく露に対応する健康障害防止措置の検討を行うこととしているところである。

 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可能性があることから、今後実施する健康障害防止措置の検討結果を待たず、速やかに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第57条の3第1項の規定に基づく危険性又は有害性等の調査(以下「化学物質のリスクアセスメント」という。)を行い、その結果に基づいて労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。

 

(2)経気道ばく露 について、作業工程に共通して高いリスクが認められるものではないが、揮発性が高いことに注意が必要と判定 された物質(1物質)

  No.79 クロロメタン(別名塩化メチル)

 本物質については、経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含めて詳細リスク評価を確定させることとしている。

 今般、経気道ばく露のリスクに係る追加調査の結果、本物質を 製造し又は取り扱う事業場 において、作業工程に共通して高いばく露があるわけではなく、直ちに健康障害防止措置の検討が必要となるような高いリスクが認められるものではないが、本物質が容易に気化し、高濃度になりやすい物質であることには注意が必要であると判定された。

 本物質は有害性の高い物質であることから、今後実施する経皮吸収の観点も含めた詳細リスク評価の確定を待たず、速やかに化学物質のリスクアセスメントを行い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。

 

 2 初期リスク評価

(1) 経気道ばく露に関するリスクが高い等と判定され、さらに詳細なリスク評価が必要とされた物質( 8物質)

  No.104 2-クロロフェノール

  No.105 メタクリル酸メチル

  No.106 2-ブテナール

  No.110 しよう脳

  No.111 チオ尿素

  No.112 テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)

 No.113 1-ブロモプロパン

 No.116 メタクリル酸2,3-エポキシプロピル

 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクが高い等と判定されたことから、 ばく露の高い要因等を明らかにするため、 さらに 詳細なリスク評価を行うことを予定している。

 しかしながら、 本物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可能性があることから、今後実施する 詳細リスク評価の結果を 待たず、速やかに 化学物質のリスクアセスメント(ただし、メタクリル酸2,3-エポキシプロピルについては、安衛法第 57条の 2における通知対象物に該当しないことから、安衛法第 28条の2第1項の規定に基づく危険性又は有害性の調査に代える。)を行い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。

(2)経気道ばく露のリスク は低いと判定 された ものの、経皮吸収のおそれが指摘されている 物質1物質)

  No.115 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸

 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクは低いと判定されたが、 経皮吸収が指摘されていることから、 詳細リスク評価を行い、 経皮吸収に関する知見の収集や保護具の使用等作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含め、リスク評価を確定させることを予定している。

 しかしながら、 本物質は有害性の高い物質であり、かつ、経皮吸収によるばく露の可能性があることから、今後実施する 詳細リスク評価の結果を待たず、速やかに 化学物質のリスクアセスメント を行い、その結果に基づいて安衛則第 576条、第 577条、第 593条、第 594条等の規定に基づく措置を講ずることにより 、 リスクの低減に取り組むこと。

(3)経気道ばく露のリスク は低いと判定 され 、かつ経皮吸収のおそれの指摘もない物質(7物質)

  No.101 ジボラン

  No.102 アセチルサリチル酸(別名アスピリン)

  No.103 塩化ホスホリル

  No.107 トリクロロ酢酸

  No.108 ニッケル(金属及び合金)

  No.109 イソホロン

  No.114 エチリデンノルボルネン

 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクは低いと判定された。

 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であることから、速やかに化学物質のリスクアセスメントを行い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。

 

 別紙1:2019年度リスク評価対象物質【PDF形式:897KB】

 2019年度化学物質のリスク評価検討会報告書【厚生労働省ホームページ】

 

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