事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正

行政の動向
2020-04-08

 事業場における労働者の健康の保持増進については、昭和63年に、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第70条の2第1項の規定に基づき、事業場における労働者の健康保持増進措置を推進するため、事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和63年健康保持増進のための指針公示第1号。以下「指針」という。)を策定し、指針に沿った取組が普及されてきたところです。

 一方で、指針策定から30年以上が経過し、産業構造の変化や高齢化の一層の進展、働き方の変化等、日本の社会経済情勢が大きく変化していく中で、事業場における健康保持増進対策についても見直しを図るため、検討を行われてきました。

 その結果、事業場における健康保持増進措置をより推進する観点から、指針の改正が行われ、令和2年4月1日から適用されることとなりました。

 改正後の指針に基づき、労働者の健康管理が適正に行われるよう、ご協力をお願いいたします。

 

 1 改正のポイント

(1)従来の労働者「個人」から「集団」への健康保持増進措置の視点を強化

 以前の指針では健康測定の結果、生活習慣上の課題を有する労働者を主な対象として、運動指導や保健指導等を実施する視点が強い内容となっている。

 今回の改正では、幅広い労働者の健康保持増進が促進されるように、直ちに生活習慣上の課題が見当たらない労働者も対象に含まれ、一定の集団に対して活動を推進できるように「ポピュレーションアプローチ」の視点を強化する。

(2)事業場の特性等に合った健康保持増進措置への見直し

 以前の健康保持増進措置は、①健康測定(生活状況調査、医学的検査等)、②産業医等による指導票の作成、③個人の状況に応じた運動指導、保健指導等を各専門家より実施という流れで構成されており、定型的な内容を示している。しかし、事業場がこの内容に取り組むことは時間や費用等の観点からハードルが高く、結果的に浸透していない。

 今回の改正では、事業場の規模や事業等の特性に応じて健康保持増進措置の内容を検討し、実施できるように見直された。

(3)健康保持増進措置の内容を規定する指針から、取組方法を規定する指針への見直し

 (2)のとおり、健康保持増進措置を事業場の特性等に応じて実施できるものとする一方、事業羽状で健康保持増進対策を推進するにあたっては指針に基づく進め方(PDCAサイクル)に沿って確実に実施することを求めるものとする。

 以前の指針では、健康保持増進対策の推進に関して、事業者の表明や目標の設定等の進め方に関する言及はあるものの、各項目については具体的な記載となっていない。今回の改正では、指針に基づく措置内容について柔軟化する一方、PDCAの各段階で事業場で取り組むべき項目を明確にし、事業場が健康保持増進対策に取り組むための進め方を規定する指針へ見直す。

 

 2 適用日 令和2年4月1日

 

 第128回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)【厚生労働省ホームページ】

 資料4 事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について【厚生労働省ホームページ】

 参考資料2 事業場における労働者の健康保持増進のための指針新旧対照表【厚生労働省ホームページ】

 

 

 

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