労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について

行政の動向
2020-04-28

 

 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第148号。以下「改正政令」という。)、特定化学物質障害予防規則及び作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第89号。以下「改正省令」という。)及び作業環境評価基準等の一部を改正する告示(令和2年厚生労働省告示第192号。以下「改正告示」という。)が、令和2年4月22日に公布及び告示され、令和3年4月1日から施行されます。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりです。

 

1 改正政令の概要

(1)特定化学物質の追加

 特定化学物質(第2類物質)に、「溶接ヒューム」を追加するとともに、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」の「(塩基性酸化マンガンを除く。)」を削除したこと。この結果、溶接ヒューム及び塩基性酸化マンガンに係る作業又は業務について、新たに作業主任者の選任(法第14条関係)、作業環境測定の実施(法第65条関係。塩基性酸化マンガンに係る業務に限る。)及び有害な業務に現に従事する労働者に対する健康診断の実施(法第66条第2項前段関係)が必要となること。

 

(2)溶接ヒュームに係る作業環境測定の適用除外

特定化学物質(第2類物質)に適用される規制のうち、作業環境測定を行うべき作業場については、溶接ヒュームに係る作業を行う屋内作業場を除いたこと。

 

 

2 改正省令の概要

(1)特化則(溶接ヒュームへのばく露防止)関係

ア  金属をアーク溶接する作業、アークを用いて金属を溶断し、又はガウジングする作業その他の溶接ヒュームを製造し、又は取り扱う作業(以下「金属アーク溶接等作業」という。)を行う屋内作業場については、当該金属アーク溶接等作業に係る溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じることを義務付けたこと。

 

イ 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属アーク溶接等作業の方法を採用しようとするとき、又は当該作業の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定することを義務付けたこと。

 

ウ イによる空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じることを義務付けたこと。

 

エ ウの措置を講じたときは、その効果を確認するため、イの作業場について、イの測定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定することを義務付けたこと。

 

オ 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けたこと。

 

カ 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において当該金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業場についてのイ及びエによる空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、当該労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けたこと。

 

キ カの呼吸用保護具(面体を有するものに限る。)を使用させるときは、1年以内ごとに1回、定期に、カの呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認し、その結果を3年間保存することを義務付けたこと。

 

ク イ又はエによる測定を行ったときは、その都度、必要な事項を記録し、これを当該測定に係る金属アーク溶接等作業を行わなくなった日から起算して3年を経過する日まで保存することを義務付けたこと。

 

ケ 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う屋内作業場の床等を、水洗等によって容易に掃除できる構造のものとし、水洗等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上掃除することを義務付けたこと。

 

コ 事業者からオ又はカの呼吸用保護具の使用を命じられたときは、これを使用することを労働者に義務付けたこと。

 

 

(2)特化則(健康診断)関係

 金属アーク溶接等作業に係る業務に従事する労働者について、雇入れ又は当該業務への配置換えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断の実施を義務付けたこと。さらに、健康診断の結果、他覚症状が認められる者等で、医師が必要と認めるものについては、医師による追加の健康診断の実施を義務付けたこと。

 

 

3 改正告示の概要

(1)評価基準関係

 管理濃度に係る「物の種類」について、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」を「マンガン及びその化合物」に改めるとともに、その管理濃度を「マンガンとして0.05mg/m3」に引き下げたこと。

 

(2)特化則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能(昭和50年労働省告示第75号)関係

 局所排気装置の具備すべき性能に係る「物の種類」について、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」を「マンガン及びその化合物」に改めるとともに、その抑制濃度を「マンガンとして0.05mg/m3」に引き下げたこと。

 

(3)測定基準関係

 個人サンプリング法(作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う作業環境測定に係るデザイン及びサンプリング)による作業環境測定の対象となる「低管理濃度特定化学物質」に「マンガン及びその化合物」を追加したこと。また、特定化学物質の濃度の測定方法等に係る「物の種類」について、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」を「マンガン及びその化合物」に改めるとともに、その試料採取方法について、測定基準第2条第2項の規定による要件に該当する分粒装置を用いるろ過捕集法としたこと。

 

 

4 施行日、準備行為及び経過措置

ア 改正政令、改正省令及び改正告示は、令和3年4月1日に施行することとしたこと。

 

イ 改正政令については、改正後の令第6条第18号に掲げる作業(改正前の令第6条第18号に掲げる作業に該当するものを除く。)については、令和4年3月31日までの間は、当該作業の作業主任者を選任することを要しないこととしたこと。

 

ウ 改正省令の3(1)イの適用については、事業者は、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間、厚生労働大臣の定めるところにより、金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、当該金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場について、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならないこととしたこと。

 

エ 改正省令の3(1)イの屋内作業場については、令和4年3月31日までの間は、改正省令3(1)ウ、エ、カからクまで及びコ(3(1)カの呼吸用保護具の使用に係る部分に限る。)は、適用しないこととしたこと。

 

オ その他所要の経過措置を改正省令及び改正告示に設けることとしたこと。

 

 

 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について【厚生労働省ホームページ】

 

 

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