労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続について

行政の動向
2021-07-07

 

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第55条 並びに労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第16条第1項第4号及び第9号の規定に基づき、石綿及び石綿をその重量の0.1% を超えて含有する製剤その他の物は、試験研究の用に供するもの等を除き、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならないこととされています。

 しかしながら、一部の事業者が輸入し、国内において販売していた珪藻土を 主たる材料とするバスマット等の製品に、石綿がその重量の0.1%を超えて含有 されていた事案が複数確認されています。

 このため、法第55条で規定する石綿等の製造等の禁止の履行確保を図るため、 石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第96号。以下「改正省令」という。)等を、令和3年5月18日に公布等し、令和3年8月1日から順次施行することとし、 令和3年5月18日付け基発0518第7号により、その趣旨の周知等について要請をしたところです。

 今般、法で定める有害物等の輸入通関を円滑に行うため、その手続等につい て、以下のとおり定められました。

1 確認の対象となる有害物等

 法第55条及び令第16条第1項の規定に基づき輸入等が禁止されている有害 物等であって、輸入申告において、税関の確認等を受ける必要がある有害物等は、以下のとおりである。

   関税定率法(明治43年法律 第54号)別表の番号     有害物等
   第36.05項    黄りんマッチ 
  第2921.59号    ベンジジン及びその塩
   第2921.49号    四―アミノジフェニル及びその塩 
  第25.24項    石綿 
  第2904.20号    四―ニトロジフェニル及びその塩
   第2909.19号   ビス(クロロメチル)エーテル 
  第2921.45号    ベータ―ナフチルアミン及びその塩 
  第3506.91号、第4005.20 号、第4016.99号    ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤 (希釈剤を含む。)の五パーセントを超えるもの 
  第38.22項、第3824.99号    ベンジジン及びその塩、四―アミノジフェ ニル及びその塩、四―ニトロジフェニル及 びその塩、ビス(クロロメチル)エーテル又 はベータ―ナフチルアミン及びその塩をその重量の一パーセントを超えて含有する製剤その他のもの 
  ―    石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他のもの(次の欄に該 当するものを除く。) 
  第6815.99号のうち「090- その他のもの」、第69.01項    石綿をその重量の〇・一パーセントを超え て含有する珪藻土を主たる材料とするバス マット、コップ受け、なべ敷き、盆その他 これらに類似する板状の製品 

 

2 石綿を含有するおそれのある製品の輸入手続

 改正省令による改正後の石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。 以下「石綿則」という。)第46条の2第1項の規定及び告示に基づき、珪藻 土を主たる材料とするバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これら に類似する板状の製品を輸入しようとする者(当該製品を販売の用に供し、 又は営業上使用しようとする場合に限る。)は、当該製品の輸入の際に、厚 生労働大臣が定める者が作成した石綿の検出の有無及び検出された場合の含 有率等の事項を記載した書面(以下「分析結果報告書」という。原本に限る。) 及びその添付書類を取得し、当該製品中に石綿がその重量の0.1パーセントを 超えて含有しないことを確認しなければならない。

 さらに、当該輸入しようとする者は、関税法(昭和29年法律第61号)第70 条第2項(同法第76条第4項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、輸入申告において、当該書面及びその添付書類を提出し、次に掲げる事 項の確認を受けなければならない。

 ただし、輸入しようとする製品の一品目(関税定率法別表関税率表におけ る番号)ごとの課税価格の合計額が1万円以下である場合は、「当該製品を 販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合」にあたらないため、次 に掲げる事項の確認を経る必要はない。

(1)輸入しようとする製品が、珪藻土を主たる材料とするバスマット、コッ プ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板状の製品に該当すること。 該否の判断に当たっては、次に掲げる事項に留意されたい。

 なお、輸入申告書の「品名」欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又 は営業上使用する場合の名称を記載すること。

ア 「バスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板 状の製品」(以下「バスマット等」という。)には、板状の建築材料や 布製の製品は含まないこと。

イ 「珪藻土を主たる材料とする」バスマット等の該否の判断に疑義が生 じた場合には、所轄の都道府県労働局に照会すること。

(2)輸入申告の際提出する分析結果報告書は、別添1又は2によるものとし、 次に掲げる事項を満たしていること。

 なお、分析結果報告書の「製品の名称」の欄に、輸入した製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合の名称を記載すること。

ア 分析結果報告書は、日本語により作成されたものであること。ただし、当該分析結果報告書が外国語により作成されている場合は、当該分析結果報告書及びその正確な日本語翻訳を一体のものとして当該分析結果報告書として取り扱うこと。なお、分析結果報告書の提出は、写しによ るもので差し支えない。

イ 「分析に係る試料を採取した製品のロットを特定するための情報」については、当該輸入する製品に係るロット番号等が当該輸入する製品に係るインボイス又は輸入申告書に記載されていること。また、当該製品に係る分析結果報告書に記載されたロット番号等とインボイス等に記載されたロット番号等が一致するものであること。

ウ 「石綿の検出の有無及び検出された場合にあってはその含有率」については、石綿が検出されていないこと又は石綿の含有率が製品の重量の0.1%を超えないこと。なお、「石綿」とは、繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドラ イト及びトレモライトをいう。

(3)「厚生労働大臣が定める者に該当することを証する書面」として次のいずれかの書面(有効期間内のものに限る。)の写しが添付されており、当該書面に記載されている氏名又は名称が、分析結果報告書に記載されている「分析を実施した者の氏名又は名称」と一致するものであること。なお、当該書面の写しは、日本語により作成されたものとするが、当該書面の写しが外国語により作成されている場合は、当該書面の写し及びその正確な日本語翻訳を一体のものとして当該書面として取り扱うこと。

ア 告示第2条第1号に定める者の場合

 石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号。以下「分析調査者告示」という。) 第2条の分析調査講習を受講し、同条第4号及び第5号の修了考査に合格したことを証する書面。なお、当該書面には、分析調査者告示第2条 第3号に掲げる分析の実施方法に係る実技講習のうち、修了したものが明記されている必要があること。

イ 告示第2条第2号に定める者の場合

 次の①から⑤までに定める資格に係る認定、修了、登録等を受けたことを証する書面。

①  公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者

②  一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者

③  一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」

④  一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」

⑤  一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格 者

ウ 告示第2条第3号に定める者の場合

 国際標準化機構及び国際電気標準会議が定めた規格17025(ISO/IEC17025)に適合している旨の認定(試験方法の区分が製品(バ ルク)中の石綿に係る試験に係るものに限る。)を受けたことを証する書面

3 法第55条ただし書の規定に基づく輸入の手続き

 輸入者が法第55条ただし書の規定に基づき、都道府県労働局長の許可を受けて試験研究のため有害物等を輸入する場合は、「製造等禁止物質輸入許可証」(特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)様式第4号の2。別添3参照。)又は「石綿等輸入許可証」(石綿則様式第5号。別添4 参照。)が交付されることとなるので、当該書面の写しを輸入申告書に添付し、関税法第70条第1項に規定する他の法令の規定による許可等を受けている旨の証明とすること。

 

 ※別添は以下のリンク先をご覧ください。

 労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続きについて.pdf

ページ上部へ